G Suite(元Google Apps) の無償版終了と対応

2022-05-08

IT

G Suite(元Google Apps) の無償版が終了することになった。独自ドメインのメールはあきらめられないので、どう運用するか調べ、設定を行った。


関連記事

  1. Google Apps メール(Gmail)で複数メールアドレスを管理

参考情報

  1. 無料サービスで始める"けちけち"独自ドメイン活用術 -電子メール編-
  2. 無料版Gmailへの独自ドメインメールの追加方法について

振り返ってみると、2003年01月13日に、自分の苗字(ローマ字).net(仮にpiyo.netとする)というドメインを取得している。当時1,000円/年ぐらいなので、一生(50年)維持しても5万円ぐらいだったら、かっこいいので取ろうと思ったことを覚えている。メールアドレスも、名前@苗字.net(仮にhoge@piyo.netとする)を作成している。Value Domainで取得し、付属?のXREAで運用を始めた。PHPでWebMailシステムを作ったりもしていたのが懐かしい。たぶんセキュリティー駄々洩れだっただろうけど。

その後、Google Appsという独自ドメイン運用のシステム(?)が無料で使えることを知り、2008年9月6日に、XREAから移行・運用を始めたようだ。

その後有料化されたとか、名前が G Suite に変わっただとかあったが、元々使っている人はそのまま無料で使えるとの事で安心して使い続けてきた。

けど、ついに有料化される時が来てしまった。今度は Google Workplace になるらしい(しばらく前からログイン時にそうなっていたが…)。まぁ文句はいいようがないし、ここまでありがとうなのだが、困った。

実は、何年か前に、妻とその友人が使うという事で別のドメインを取得し、その時点で Google Apps(G Suiteだったかも)は有料化していたので、MicrosoftのOutlook.comを利用した。その時点では無料だったのだが、これも有料化してしまったようだ。

他にも探すと無料のものもなくはないが、容量が少ない等、使えない感じだった。

そこで、方法を検索したところ、一番よさそうだと思ったのが、Gmailを使い、Gmailの他のメールアドレスを追加(別のメールアドレスをaliasしたり、別のサーバーから送ったりする機能)機能を使う方法だ。POPまたは転送で、そのGmailに読み込み、送信は上記方法を使うという事になる。

大方針は上記として、ここから具体的な方法を記載する。参考情報1の内容を元にアレンジした。

  1. まずは、そもそも今どういう設定になっているのかのおさらい。自分で設定したのだが、すっかり忘れている。
    • ドメイン登録
      Value Domainで登録
      DNSのMXレコードで、Google Apps(Gmail?)のサーバーを設定。5つぐらい書いてあるが今となっては意味不明。当時何かの情報を元に設定したのだろう。
    • メールサーバー
      Google Appsで運用。
      Google Appsの前は、XREA(Value Domain付属のレンタルサーバー?)で運用。今回確認すると、その時の残骸らしき設定が残っていた(基本、Google AppsとXREAには同じアドレスが設定されていた)。実際にどちらの設定が生きているか以下のように確かめたところ、Google Appsが生きているようだった。
      • XREAにだけあるアドレスにメールを送ると、宛先不明で帰ってきた
      • Google Appsだけにあるアドレスを仮に作成して(管理コンソールで設定)メールを送ると届いた
  2. とりあえず、使ってなさそうなユーザーやURLを全部消す
  3. 独自ドメインメールの各ユーザー毎に、運用用のGmailを作成(仮に、hoge.piyo.net@gmail.comとする)
    元から持っているgmailを使っても可
  4. hoge@piyo.net(Google Apps)のメールをhoge.piyo.net@gmail.comに取り込み
    1. hoge@piyo.netでPOPでダウンロード(取り込まれる)をON
      設定→すべての設定を表示→メール転送とPOP/IMAP→POPダウンロードのすべてのメールでPOPを有効にする→変更を保存(最下部)
      hoge@piyo.netのメールを受信トレイに残す(任意で)
    2. hoge@piyo.netで安全性の低いアプリのアクセスをON
      これを設定しておかないと、hoge.piyo.net@gmail.comでのPOP取り込み設定で却下される(指定のユーザー名とパスワードによる POP3 アクセスはサーバーで拒否されました)。
      Googleアカウント(右上のアイコン)→Googleアカウントを管理→セキュリティ→安全性の低いアプリのアクセス→パスワード入力→有効
      (2段階認証を設定している人は違うかも。アプリパスワード?参考情報1参照)
      なお、この設定は、2022年5月30日より使えなくなると記載されている。そうなったら、2段階認証のアプリパスワードが必須になるのかなぁ…。
    3. hoge.piyo.net@gmail.comでPOPで取り込む設定
      設定→すべての設定を表示→アカウントとインポート→他のアカウントのメールを確認→メールアカウントを追加する
      メールアドレス:hoge@piyo.net→次へ
      ユーザー名:hoge@piyo.net
      パスワード:hoge@piyo.netのパスワード
      POPサーバー:pop.gmail.com、ポート:995 (Google Appsなので、gmailと同じ)
      コピーをサーバーに残すはチェックを付けない。つけるとエラーが出る(pop.gmail.com では、サーバーにメッセージを残すことができません)。1のサーバーに残すと被るから?
      SSLを使うにチェック
      ラベルは必要に応じて設定
      確か、何か認証があって、取り込めるようになったはず。
      取り込み終わるまでしばらく待つ。私の場合、1万メールぐらいあったので、何時間かかかった。メールの数が合わなかったが、見たところ同じっぽい。一部は、セキュリティーに引っかかって取り込めないというのがあった。迷惑メールになったのもあった。そのあたりで数がずれたのだろう。送信済みメールも取り込まれていた。POPで取り込めるのは受信トレイのものだけのような気もするが、Gmailの場合すべて受信トレイにあり、送信済みメールはSentのラベルがついているだけだからかもしれない。
      また、今回途中で使うメールアドレスの気が変わって変更したのだが、POPで一度取り込みされたメールは、別のメーラー(この場合は別アドレスのGmail)からは取り込めないらしい。その場合、hoge@piyo.netのPOPダウンロードの設定を一度解除して、再度設定すると、取り込めるようになった。
    4. hoge@piyo.netの運用切り替えが終わったら、1~3の設定を元に戻す(削除)する。
  5. hoge@piyo.netに転送していたメールの転送を、hoge.piyo.net@gmail.comに変更
    転送元がGmailなら、設定→すべての設定を表示→メール転送とPOP/IMAP→転送先アドレスを追加から追加。hoge.piyo.net@gmail.comに認証メールが届くので、リンクをクリックして認証
  6. (なんとなくだけど)XREAのSquirreMail(Web Mail)でhoge@piyo.netからメールを送信できる事を確認
  7. Value Domainのネームサーバー設定を、転送機能付きのサーバーに変更
    Value Domain→コントロールパネル→ドメインの設定操作→piyo.netのネームサーバー→下部にある「転送機能付き上位レジストラのネームサーバーを利用する」をクリック。(01~04.dnsv.jpが表示される。元々01~02.dnsv.jpだった。)→保存する
    左が元、右が変更後

  8. Value DomainのDNS設定で、MXレコード他を変更(これで、Google Appsでメールが運用されなくなるはず)
    *参考情報1ではこの作業は記載されていないが、これをやっておかないと、次の転送を設定した後、自動で転送のMX設定がされなかった。元々がカスタムされていたからだろう。
    Value Domain→コントロールパネル→ドメインの設定操作→piyo.netのDNS/URL→自動設定で自分のサーバーを選択。(DNS設定が表示される)
    左が元、右が変更後

  9. Value Domainのメール転送設定で、hoge@piyo.netの転送を設定
    Value Domain→コントロールパネル→ドメインの設定操作→piyo.netのメール転送
    自分と妻のを転送設定。後で、domainmaster/postmaster/webmasterも追加した(12参照)。

    なお、参考情報2では、hoge@piyo.netの受信メールをhoge.piyo.net@gmail.comに取り込む方法として、POPを使っている。それもありだろうけど、ちょっと受信が遅くなるのが難点のようだ。ヘッダーはどっちがきれい(余分な事が書かれてない)なのかなぁ…。
  10. DNS設定を確認
    MXレコードが、mailforward.dnsv.jpに変更されている。

  11. XREAのSquirreMail(Web Mail)でhoge@piyo.netからメールを送信できる事を確認
    10で見た通りMXレコードはXREAになっていないが、メール送信はできる事を確認。XREAのドメイン設定→ドメイン設定状況を確認すると、サイトとメールが設定中となっているので、メールサーバーとしては設定されているのだろう。その他の設定は、ここまでで設定したネームサーバーやAレコードにXREAのIP、MXレコードにmailforward.dnsv.jp が設定されていた。
    (それ以外にもサブドメインが設定されていた。以前設定したのだろう。webmail.piyo.netは、以前の自作webmailの残骸だろう。下記のキャプチャーの後削除した。)

  12. XREAのメール設定の整理
    MXレコードで指定していないので、受信にはこの設定は不要なはずだ。一方で、次(13)の別アドレスでの送信設定にサーバー(SMTPサーバー)を使いたいので、独自ドメインで使用するメールアドレスについえは、ここの設定を行う(残す)こととした。
    9で転送設定をしていないが、XREAのメールには設定されているアドレスがあった(2で消さずに残したもの)。具体的には、domainmaster、postmaster、webmaster。こういうアドレスが必要なのかどうかわからないが、何かあったときにメールがくる流儀があるかもしれない。domainmasterでSquirreMailを開いてメールを送ると、送信はできた。一方で別のアドレスからdomainmaster@piyo.net宛にメールを送ると、アドレス不明で送信できなかった。ということで、サーバーとしてはあるけど、メールアドレスとしては死んでいる(10で確認したように、XREAのサーバーはMXレコードで指定されていないので当然か)事になる。上記の3つは残すことにして、9の転送設定に加える事にした。またそれらのアドレスは、XREA上で転送設定されていたので、転送設定は削除した。ついでにパスワードや容量も見直し。
    なお、XREA上での設定は、Value Domainから新コントロールパネル→メール→メールアドレスをクリック→メール設定の変更 から行う。SquirrMailを開くのも同様。
    今回、DNSのMXレコード設定でメール転送するようにしたが、MXレコードはXREAにして、XREA上で転送する設定にしても、同様の事ができそうな気がした。
  13. hoge.piyo.net@gmail.comの別アドレスに、hoge@piyo.netを登録
    参考情報1では、GmailのSMTPサーバーを設定するようになっているが、その場合、送信者にGmail経由と表示されるそうだ。
    ここでは、XREAのSMTPサーバーを設定することにした。試しにメールしてみて、ヘッダーも確認してみたが、XREAのサーバーから送られており、Gmail経由的な情報はなさそうだ。関連記事1にも似たことを書いてあるので、参考まで。ちょっと条件が違うけど。実際の設定は以下の手順。
    hoge.piyo.net@gmail.comの→設定→すべての設定を表示→アカウントとインポート→他のメールアドレスを追加→名前:適当に、メールアドレス:hoge@piyo.net、エイリアスとして扱いますにチェック(今一意味がわかってないが)→次のステップ→SMTPサーバー:XREAのサーバー名、ポート:587(そのまま)、ユーザー名:hoge@piyo.net、パスワード:XREAで設定したパスワード、TSLをチェック→アカウントを追加。確認メールがhoge@piyo.netに送られるので、リンクをクリックして確認するが、確認コードを入力する
    必要に応じて、他のユーザーも同様に設定する。

  14. (Google Appsのユーザー設定を削除)
    実際は、7月になったら自動的に消えるはずなので、放置する。
  15. Google AppsのドライブやBlogger等をコピーor削除(基本使ってなかったけど)
  16. Google Appsを無料の待機リストに登録

結構大変だったが、これで無料のまま(ドメイン登録料は除く)で運用できそうだ。


G Suite(元Google Apps) の無償版終了と対応 -2 に続く。